京都電機器は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じて、業務効率化や更なる顧客満足度の向上を目指しています。 当社が掲げている経営方針・社是の先には、変化や多様化の進む現代のなかで持続可能な成長を意識したDXの取組が必要不可欠です。 これから実現していくべきDXの具体的な取組とその実施方法などを以下の通りに示してまいります。
当社はDXを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、その推進において「データドリブンであること」を基本方針とします。
人口減少といった社会背景のなか、人材確保に関する課題はますます顕在化しており、これから業務の効率化や省人化が必須であることは、
現場から経営層まで全員が実感を伴って問題意識として感じています。ですが同時に、これらの課題解決・DX推進に取り組む上では
【優先順位の整理】や【本質的な課題の特定】が不可欠です。
「データドリブン」という考え方は、客観的なデータや合理的な根拠を元に意思決定をするものです。
手あたり次第の業務改善の試行錯誤や、新たなツールや技術の登場に対して闇雲に活用しようとするのではなく、
データの利活用を考え方のベースとすることが大切です。当社は柱となるパワーエレクトロニクス事業とオプトエレクトロニクス事業と
それらをつなぐデジタル制御技術分野を中心とした知識や経験の着実な蓄積はもちろん、
社内での書類管理・品質管理・在庫管理といった業務の基幹を支えるドキュメントのペーパーレスによるデータ化、また、
追加するデータの入力作業の自動化補助なども早期に取り組み、幅広い意味でのデータの一元化に努めてまいりました。
DXの観点からもデータや合理性を元に費用対効果を多角的に検討することが各取組においては重要な点となります。
ここには費用・業務時間・安全面などの明確に数値化できるデータのみならず、スキルやモチベーション、
顧客満足といった質的なデータの可視化も含まれています。データの一元管理に合わせて、今後もより一層のデータとしての
可視化にも取り組むことで、それぞれのDXの取組を「データドリブン」の基本方針のもとで推進してまいります。
● DX推進に資する目標管理
当社では四半期ごとに部門ごとに目標管理を行っております。その中に必ず業務効率化やデジタル化に関する目標を含めるようにしています。
たとえば、手書きで記録していた検査情報を、タブレット端末に直接入力、リアルタイムでのデータ化はもちろん、
PDFとして取引先とやり取りができるように仕組みづくりを実施した事例や、展示会で情報収集をしたうえで社内・社外での
システム強靭化を実施した事例などがあり、これらは部門目標として設定されたなかで達成したものであります。
また、部門目標ではありつつも、部門を横断して協力し合って設定・達成できるように経営面からも支持・評価を行っており、
それぞれが機能し合うように取り組んでいます。特に、目標設定においては、人事評価制度とも連動しつつ、
社内での業務改善提案発表会から自発的な勉強会まで、横断的で双方向性のあるコミュニケーションのなかで、
課題特定が合理的にデータドリブンで行われるように仕組み化をしています。
今後の展望としましては、AIを活用する中での、社内FAQ構築や在庫管理におけるリードタイムの課題解決などにも
目標の範囲を広げていくことを計画しており、適切なタイミングでの適切な目標管理を継続してまいります。
● DXスキルの向上や内製化
当社ではノーコード/ローコードツールである「kintone」を積極的に活用しており、
業務上ただ自由に利用できる環境を整えるのみには留めず、実課題の解決につなげるべく各人を支える動きをとっています。
具体的には、業務改善提案発表会とは別途、kintoneに関する社内アイディアソンを年に一回実施しており、
DXスキルを身に着ける成長と実践の機会を設けています。なお、デジタル技術に関する面だけでなく、
伴う変革に関する面でのスキル向上にも資する点が特長です。これは、当社ではkintoneを取引先と共に活用している場面があり、
複数の立場が関わる図面管理・リアルタイムでの連絡といった運用上の変革にも実際につながるためです。
特に、始めにkintoneを導入した際には、大きな運用の変化がありましたが、関わる取引先の皆さまから
運用が改善し喜びのお声をいただけ、継続的にkintoneを活用できている点はより一層の全社的なDXスキル向上につながっています。
また、DXスキルの向上を推進する上で、内製化についても意識的に取り組んでいます。
これは過去に社内専用の情報管理の仕組みの中で部品の検索についてチャットボットシステムを内製化できた実績から、
新たな技術の活用の際には、費用面・人材スキル面の両面でのメリット検討の重要性を組織として認識できている点があります。
当社では「情報化推進委員会」を設けています。部門長が任命した委員が8つの各部門から1名ずつ、
そして、情報管理課の1名で構成されております。「情報化推進委員会」では定期的な各部署でのDX関連の情報共有を行い、
全社として横断的に現場における具体的なDX推進の足並みが揃えられるように取り組んでいます。
なお、具体的なDXの技術的なサポート面では情報管理課が主体となっており、更なるサポート体制の充実を展望としています。
また、kintoneに限らない様々な勉強会や情報収集の実施を組織的に推し進めていることも含めて、
DX人材としての全社的な育成に継続して注力します。特に採用面については多様化の時代に則した背景にとらわれない
広い戦略のもとでDX人材の確保への視点を持って取り組んでいます。
なお、各取組の達成度に対する指標につきまして、目標管理に関しては各部門での目標設定した行動が達成できたかどうか
(課題業務の時間削減・社内外での協力体制のなかで実施できたか・業務上のストレスが軽減されたか等)を、
DXスキルの向上や内製化に関しては、直接関連する検定・資格取得や直接の代替となる業務内製化といった点はもちろんですが、
全社的にDXスキルが向上しているかアンケート・ヒアリングなどから定量・定性の両面で定期的に比較することで、
組織の仕組みとして適正に評価をしていく所存です。
昨今、いずれの業界においても、少子化による人材不足、品質向上と価格競争などの問題に直面していることを日々感じています。
当社では、そのような問題を克服して、かつ、業務課題の解決や更なる顧客満足を実現するべく、
これからもDX推進について積極的に継続してまいります。
当社の社是として掲げております「誠実であれ」「積極的であれ」「創造的であれ」「協調性を持て」「情熱的であれ」
を常に心に留め、3年後、5年後、そして続く物心両面での幸せや社会貢献に向けて全社員が一丸となって取り組んでいます。
変化の大きな時代において、スピーディかつ継続的に成長していくことは大きな課題でもありますが、同時に大きな可能性でもあります。
「無限の可能性を信じ」「高品質の製品とサービスを提供し続ける」という経営理念は、まさにDXの考え方に通ずるものであり、
これからの時代を共に生き抜いていくためにDXの取組はますます重要になると考えております。
一括りにDXと申しても、実際に行動につなげていくためには、組織としての仕組みと一人ひとりが主体性を持つことの、
両面から推進していくことが重要です。当社では、社是を超えて挑戦や協力、社員同士が信頼し合う風土があり、
多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍する好環境に恵まれております。活発な意見交換が自発的に行われる場面もあり、
組織としての体制編成と相乗効果が生まれ、新たなデジタル技術の活用へとつながったという動きもあります。
このようなDXに対する取組の継続はもちろん、これからの新しい取組も、取引先の皆さま、社員、ご家族の皆さま、
引いては広く社会全体への貢献となることを確信しております。今後とも私たち京都電機器をよろしくお願いいたします。
制定日:2025年3月3日
代表取締役社長 小西 秀人